
「謎解きはディナーのあとで」を拝読いたしました。
軽妙な会話劇と本格的な謎解き、そのどちらも楽しめる作品でございますけれど、私にとってはそれ以上に、“お嬢様の在り方”と“執事の使い方”を考えるうえで大変参考になる書でございました。
令嬢とは何か、執事とは何か――。
それらが表面的な立場や衣装ではなく、振る舞いと信頼によって築かれていく関係性であることが、自然と描かれております。
もちろん、麗子お嬢様は少々お行儀がよろしくない場面もございますけれど、それゆえにこそ、執事である影山氏の冷静かつ痛烈なツッコミが映えるのでございます。
距離を保ちながらも、お嬢様の命と名誉を守るその献身。
執事とはこうあるべき、という理想像が、そこにはきちんと描かれております。
私はすでに「お嬢様」と呼ばれる年頃ではございませんけれど、日々の生活において“気高く、静かに、たおやかに”在ることを目指す者のひとりとして、たいへん学ぶところが多うございました。
読後、つい姿勢を正して紅茶を一杯いただきたくなるような――
そんな気持ちにさせてくれる一冊でございます。
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